[旧相続法]

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相続したけれど…

「旧相続法」


 家督相続といった家制度は戦前の制度ですが、戦後の現在であっても戦前に発生した相続については家督相続等の旧相続法が適用されます。さらに、戦後に発生した相続であっても昭和22年5月2日以前の応急措置法施行前に発生した相続については家督相続等の旧相続法が適用されます。

家督相続


 家督相続とは、戸主の死亡や隠居等により戸主が有していた戸主の地位に基づく身分上や財産上の権利義務を包括的に承継することです。

(家督相続人)
 家督相続は同じ戸籍にある子や孫といった直系卑属において決められた順位により生じます(法定推定家督相続人)。家督相続人は1人に限られるため優先順位は@嫡出男子、A庶出男子、B嫡出女子、C庶出女子、D私生子男子、E私生子女子の順位によります。家督相続人が戸主よりも前に死亡等していた場合には代襲相続が生じます。なお、実子と養子とは区別がなく同じ扱いとなります。なお、現在の相続の場合と異なり法定の家督相続の場合には相続放棄はできません
 しかし、法定推定家督相続人たる子や孫がいない場合もあります。このような場合には遺言で(隠居の場合には生前に)自分が死亡(隠居)した場合の家督相続人を決めておくことができました(指定家督相続人)。しかし、指定後に指定された者が先に亡くなる場合もあります。このような場合には指定は効力を失います。この点は現在の遺言と同様です。また、指定後に戸主に実子が生まれた場合や養子を迎えた場合にも指定は効力を失います。家督相続の指定は法定の家督相続人が存在しない場合に行う制度のためです。なお、指定の家督相続の場合には法定の家督相続の場合と異なり相続放棄は可能です。
 さらに、法定も指定の家督相続人がいない場合には、父母や親族会により配偶者や兄弟姉妹や甥姪のうちから家督相続人を選定することもあります。また、父母等の直系尊属自身が自ら家督相続することもあります。さらには、その他の親族の中から家督相続人が選ばれることもあります。

(家督相続の発生)
 家督相続は死亡及び失踪宣告による死亡の擬制の場合に生じます。この点は現在の相続の場合と同様です。しかし、家督相続は死亡の場合のみならず生前にも発生します。有名なのは「隠居」です。さらに、「去家」や「入夫婚姻」も場合にも生じます。その他、国籍離脱の場合にも発生します。
 家督相続により前戸主の戸主の地位に基づく身分上や財産上の権利義務を承継します。現在の相続人が1人の場合の単独相続と似ており遺産分割協議はありません。
 現在の相続では財産のみが相続の対象となりますが、家督相続では財産上の権利義務のみならず身分上の権利・義務も承継します。

(家督相続の対象外1)
 家督相続は前戸主の死亡の場合のみならず隠居の場合にも発生しますが、隠居の場合には前戸主はまだ生きているため今後生活していく財産が必要になる場合もあります。そのため隠居の場合には前戸主は財産の一部を家督相続により承継させないものとすることができます。「留保財産」です。また、留保財産は隠居の他に入夫婚姻の場合にも可能です。留保された財産は家督相続の対象財産からはずれます。

(家督相続の対象外2)
 戸主の身分上の権利として「廃家」があります。廃家とは戸主が他家に入るために自分の家を消滅させる身分行為です。もっとも、廃家できる場合は制限されており、新設の家の戸主ではない家督相続によって戸主になった戸主は姓正当な事由と裁判所の許可がなければ廃家はできないとされていました。
 廃家の場合には廃家の財産は廃家した元戸主に帰属し、元戸主が入った他家の戸主の財産とはならず、家督相続ではなく遺産相続の対象となります。
 廃家とは異なり、戸主の意思によらずに家自体が消滅することは「絶家」です。家の消滅とは戸籍上の全員がいなくなり、さらに、家の財産もなくなることが必要となるため、絶家の場合には財産上の権利・義務の承継の問題は生じないことになります。

遺産相続


 遺産相続とは、戸主以外の家族の死亡により死亡していた家族が有していた財産上の権利義務を包括的に承継することです。
 戸主以外の者が死亡した場合には家督相続でなく遺産相続が発生します。なお、家督相続の場合と異なり遺産相続の場合には隠居のような制度はありません。

(遺産相続人)
 遺産相続も決められた順位により生じます。この点は現在の遺産相続と同様ですが、その順位は大きく異なります。まずは、子等の直系尊属が第一順位の相続人となります。子が数人いるような場合には数人が共同して相続します。次いで、妻等の配偶者が第二順位の相続人となります。配偶者が常に相続人となる現在と比べてこの点は大きく異なります。そして、第三順位に親等の直系尊属、第四順位に戸主が相続人となり、戸主がいない場合には相続人がいない場合となるため、兄弟姉妹が遺産相続において相続人となることはありません。
 なお、遺産相続においては相続を放棄することも可能です。

相続したけれど…

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谷中和志司法書士事務所/豊橋版